呼吸器外科
診療内容と手術実績
当教室では、肺癌、縦隔腫瘍、中皮腫、気胸や嚢胞性肺疾患、膿胸、さらには胸部外傷など、呼吸器外科全般に幅広く対応しています。
手術実績については教室開講以来、年々増加を続けております(図1)。いずれの疾患においても、患者さんの状態や背景を踏まえたうえで、最も適切な治療法を選択し、安全かつ確実な外科治療の提供を目指しています。
また、進行した悪性腫瘍に対しては呼吸器外科単独での対応にとどまらず、呼吸器内科・放射線科・病理部などとの密接な連携のもと、カンファレンスを通じて治療方針を検討しています。化学療法や放射線治療との組み合わせ、術前・術後の集学的治療を行うことで、それぞれの患者さんにとって最も効果的で無理のない治療を提供できるよう努めています。
図1:手術実績

低侵襲手術への取り組み
当教室では、癌の根治性を担保したうえで、患者さんの負担を最小限に抑える「低侵襲手術」の推進に力を入れています。胸腔鏡下手術を黎明期から積極的に導入し、、従来の開胸手術に比べて術後の創部痛や出血量を軽減し、呼吸筋力を温存することで呼吸機能の早期回復と入院期間の短縮を図っています。
また、低侵襲手術の概念には「創の小ささ」や「術後の痛みの軽減」だけでなく、「切除肺をできるだけ小さく抑えて呼吸機能を保つ」という視点も含まれます。当教室では適応を慎重に見極めながら、小型肺癌に対する区域切除にも積極的に取り組んでいます。これにより、高齢の方や基礎疾患を有する患者さんに対しても、より安全かつ機能温存に配慮した外科治療が可能となっています。
さらに、保険収載後はロボット支援下手術(da Vinci Surgical System)を導入し、拡大視野・手ぶれ補正・関節機構による精緻な操作性といった利点を活かした、より高精度な手術も提供しています(図2)。現在では対象疾患や症例の幅も広がりつつあり、ロボット支援手術の症例数も年々増加しています。
今後も患者さん一人ひとりの背景や希望に応じた、より質の高い低侵襲手術を提供してまいります。
図2:ロボット支援下手術



ご高齢の患者様への外科治療
秋田県は全国でも有数の高齢化地域であり、当教室ではご高齢の患者さんに対する周術期管理をとくに重視しています。術前には歯科、栄養科、薬剤部、麻酔科など多職種と連携したPFM(Patient Flow Management)を導入し、全身状態を包括的に評価したうえで最適な治療方針を立てています。また、高齢者総合機能評価(CGA)を取り入れることで、高齢者一人ひとりの身体的・精神的特性を把握し、より個別化された医療の提供を目指しています。私たちは「年齢を理由に治療をあきらめない」ことを理念に掲げ、患者さんのQOLと安全性の両立を追求しています。地域に根ざした呼吸器外科診療を通じて、安心して手術を受けていただける体制づくりを進めています。
また、進行した悪性腫瘍に対しては呼吸器外科単独での対応にとどまらず、呼吸器内科・放射線科・病理部などとの密接な連携のもと、カンファレンスを通じて治療方針を検討しています。化学療法や放射線治療との組み合わせ、術前・術後の集学的治療を行うことで、それぞれの患者さんにとって最も効果的で無理のない治療を提供できるよう努めています。